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せっかく外壁を塗装しても、そこに用いた塗料がもつ機能は年月によって失われていきます。
定期的に塗装をし直して、外壁を良好な状態に保たなければなりません。
しかし塗装に使用する塗料によって、外壁塗装の効果や耐用年数は大きく異なります。
外壁塗装に用いられる塗料のひとつに、「フッ素塗料」と呼ばれる塗料がありますが、どんな特徴があるのでしょうか。
よく知らなければ選択肢に含めていいのか悩んでしまいますよね。
そこで本記事では、フッ素塗料の特徴やメリット、フッ素塗料を使った外壁塗装を業者に依頼する際にかかる費用について解説します。
「フッ素塗料」を用いた外壁塗装の特長、そのメリットや費用を徹底解説
まずは、「フッ素塗料」に関する基本的な情報を解説します。
塗料の主成分は「樹脂」ですが、中でもフッ素塗料とはフッ素系の樹脂が使われている塗料です。
これに限らず、「〇〇塗料」と呼ばれるものは、主成分である樹脂が何であるかを示していると思っていただいて大丈夫です。
フッ素塗料は、あの有名な「東京スカイツリー」にも使用されているものです。塗料としては現行最高峰の評価を受けている塗料であると言えます。
「フッ素塗料は高い評価を受けている」と書きましたが、具体的にどういった機能が高いのかをまとめてみました。
塗料はどうしても雨風や紫外線によって劣化してしまうものですが、フッ素塗料は密着性が高く、塗布した外壁にしっかりと密着する性質があるため、長く耐え続けることができます。
外壁塗装の大きな目的は「外壁の保護」であるため、耐久性が高いことはフッ素塗料の大きな特徴であるといえます。
フッ素塗料は熱に強く、外壁塗装の大敵である「紫外線」に強い性質を持っています。
紫外線などによる熱はさまざまな物質を変質させてしまいます。塗料に使われている樹脂素材も、熱に弱いものが含まれている物質です。
塗料が熱で変質すると、当然のことながら、本来の性能を発揮することはできなくなり、外壁を十分に保護できなくなってしまいます。
高い耐熱性を持つフッ素塗料は、紫外線の熱で樹脂の性質が変わってしまうのを防ぎ、しっかりと外壁を保護することができるのです。
なお、この「耐熱性」というのは、家屋の性質でよく耳にする「断熱性」とは異なるものです。
フッ素塗料は親水性が高く、雨水による外壁表面の汚れを洗い流す効果が期待できます。
親水性が高いということは、水に濡れやすく、水と密着しやすい性質があるということです。
外壁はゴミや汚れ、鳥の糞などの影響を受けます。しかしフッ素塗装の場合、塗膜と汚れの間に水が入り込むことにより、表面の汚れをしっかりと洗い流すことができるのです。
このため、日常的な外壁散水や雨天の効果により、外壁の美観を簡単に高い水準で維持することができます。
フッ素塗料は高い防カビ性および防藻性を持つため、外壁にカビや藻が定着するのを防ぐことができます。
外壁は、日当たりや湿度など、立地条件によってはカビや藻といった色見の悪い物質が付着してしまいがちです。
これらは外壁の寿命を縮める要因の1つです。見た目と機能の両面で大きなデメリットをもたらします。
これに対して、フッ素塗料はカビや藻が付着しにくい性質があるため、日当たりの悪い場所や水気の多い場所にある外壁でもその美観をしっかりと守ることができるのです。
もちろん、100%完全にカビ・藻を防ぐことができるというものではありません。
しかしながら、前項で述べた「高い親水性」の効果によって、散水で簡単に洗い流すことができるということがフッ素塗料の特長です。
外壁にとって水分はまさに天敵と言えるのですが、フッ素塗料の中には「弾性」が高いものがあり、ひび割れが生じても弾力によってひびを塞いでしまうため、そこから浸水するのを防いでくれます。このようなフッ素塗料は外壁保護効果を高めることになります。
前々項で述べた「親水性の高さ」と相まって、外壁への散水や雨水による恩恵を受けやすい性質があるのがフッ素塗料の特長です。
塗料において、耐摩耗性が高いことは、外壁の光沢・ツヤをいかに維持できるかを示すステータスでもあります。
フッ素塗料はこの点においても他の塗料より優れており、他塗料が10年前後で20%の光沢を失うといわれているのに対し、フッ素塗料は、20年もが経過しても10%程度しか光沢を失いません。
長く光沢を維持できることは、フッ素塗料の大きな特長と言えるでしょう。
前項で「フッ素塗料はスカイツリーにも用いられている」と書きましたが、フッ素塗料は、どちらかといえば「ビルや施設」の外壁塗装に用いられることが多い塗料です。
一般家庭の外壁塗装でフッ素塗料が使用される事例はそれほど多くありません。
しかし、一般家庭向けの外壁塗装を行っている業者でも、フッ素塗料をきちんとメニューに含めているところもあります。「フッ素塗料を家庭向けに利用することはない」ということはありません。
フッ素塗料は歴史が古く、昭和の頃にはすでに開発されていました。
バブル期あたりから建築用塗料として使われるようになったようです。
「フッ素塗料」を用いた外壁塗装の特長、そのメリットや費用を徹底解説
次に、上に述べたような特長があるフッ素塗料を外壁塗装に用いるとどんなメリットがあるか、逆にデメリットはあるのかということを解説していきます。
フッ素塗料はさまざまな機能性の高さにより、使用者に多くのメリットをもたらします。
フッ素塗料は「耐用年数が長い」だけでなく、その耐用年数の長さに関する多くの実績があります。
前項で述べたように、フッ素塗料は高い耐久性や耐熱性を持つため、長く使い続けることができます。
フッ素塗料の耐用年数は15年~20年程度であるとされていますから、一度外壁塗装を行えば、10年以上は外壁塗装のことを考える必要がなくなるでしょう。
長ければ15年ほど機能を保持できるケースもあります。
しかし、実は、外壁塗装に使用されている塗料の中には、「理論上はフッ素塗料以上の耐用年数がある」と謳っているものもあります。
例えば光触媒塗料などの新しい塗料は、20年以上の耐用年数があるといわれています。
では、耐用年数の点で、フッ素塗料はベストの選択肢ではないのでしょうか?
しかし、光触媒塗料などの新しい塗料は、「技術として新しすぎる」という問題があります。
「フッ素塗料よりも長く使い続けられる」というのも、あくまでも「だろう」という予想に過ぎません。
なぜなら、光触媒関連の製品が登場したのは2000年の前後あたりだからです。
つまり、まだ十分な施工例があるとは言えません。
実際に長い耐用年数を経過した事例が少ないので、本当に長い耐用年数について信用できるのかどうかは証明しにくいということになります。
一方で、日本で平成初期から使用実績のあるフッ素塗料は、その耐用年数を全うした事例がすでに豊富にあります。
現行での評価も高いことから、耐用年数に関する高い信用度があるのです。
「理論上は長期間保てる塗料」と、「実際に長期間保った実績があるフッ素塗料」では、後者の方が信用できると思います。
フッ素塗料に限らず、外壁塗装に使用される塗料は、半永久的に維持できるものではありません。
どうしても経年劣化していくため、外壁や塗膜の状態次第では、いつか再施工が必要になるのはフッ素塗料も同じです。
2回目以降の外壁塗装をいつ行うかということについて、塗料の耐用年数を基準に考えれば、当然寿命が長いほど次の施工を延ばすことができます。
耐用年数の長いフッ素塗料は、当然、「次回の施工までの期間が長い」というメリットをもたらします。
1回あたりの費用は抑えるために寿命が短い塗料を使用すると、当然、再施工までの期間も短いということになりますから、数年で2回目以降の塗装が必要になります。
外壁塗装工事は、大きな費用がかかるというだけではありません。
業者に依頼するにかける手間や、足場を組んだりするための近隣への配慮など、簡単に行えるものではありません。
その点、フッ素塗料は基本的に寿命が長いため、1回施工すれば次は10年後か、あるいは15~20年後まで再施工しなくても済む可能性が高いのです。
どんな建築物でも新築時にはピカピカの外観ですが、経年劣化によりだんだん見た目が悪くなってしまいます。
フッ素塗料の特長の項でも書いた通り、フッ素塗料には光沢があり、経年劣化による光沢の喪失度合いが少ないため、「まるで新築のような見た目になる」というメリットがあります。
このため、築年数が長い建物でも、フッ素塗料で塗装すれば、外観の光沢の強さによって、まるで新築同様の見た目の美しさを蘇らせることができるのです。
前項では、フッ素塗料を使用した外壁塗装のメリットについて説明しました。
一方で、以下のデメリットについてもきちんと理解しておいていただきたいと思います。
外壁塗装業者がフッ素塗料を用いる場合、どうしても1回あたりの施工費用が高額になりがちです。
業者ごとに具体的な料金設定は異なりますが、同じ業者でも、塗料の違いによって、安い塗料を使用する場合と比べると、1.5倍~3倍程度の費用になることが多いでしょう。
外壁塗装にかかる費用は、使用する塗料の違いだけでなく、「塗装面積の大きさ」に比例します。
つまり、塗装が必要な面積が大きい大型の建物の場合には、単価が高くなるフッ素塗料を使用すると、安い塗料で塗装する場合よりも高額な費用になってしまうわけです。
外壁塗装に限らず、こういった「工事や作業が必要な依頼」に関しては、施工前に「見積もり」をもらうことが必須です。
依頼時に塗料の選択肢ごとの料金を出してもらい、金額を比較して最終的な判断をしてください。
そして、これはフッ素塗料に限りませんが、塗料が機能を最大限発揮できるように塗装を仕上がるには、やはり職人の技術の大小が大きく作用します。
外壁塗装というものは知識さえあれば完璧な仕事をこなせるというものではありません。
それまで仕事を請け負ってきた中で少しずつ培われていく経験が物を言う世界です。
前項にも書いたように、フッ素塗料を用いた外壁塗装は、どちらかといえばビルや商業施設などに用いられることが多く、一般家庭向けの使用実績は他の塗料に比べると少ないからです。
このため、フッ素塗料を用いた外壁塗装を行うための技術がある業者は、この業界の中では多くありません。
業者によっては、フッ素塗料を使用した依頼をほとんど受けたことがないというところもあるのです。
良い仕事をしてもらうためには、一般家庭の外壁塗装でフッ素塗料を使った実績の多い業者を探して、依頼することをおすすめします。
フッ素塗料のメリットのひとつとして「光沢」をあげましたが、人によっては「ツヤがあると安っぽく見える」「自宅は和風建築だから光沢が似合わない」と感じる場合もあります。
「フッ素塗料」を用いた外壁塗装の特長、そのメリットや費用を徹底解説
最後に、フッ素塗料を用いた外壁塗装の、業者に依頼した場合にどのくらいの費用がかかるのか、そして代表的な塗料メーカーのフッ素塗料の参考価格を紹介します。
単にフッ素塗料の単価を書いてもぴんと来ないと思いますので、「他の塗料だと何円になるのか?」という形で説明しましょう。
下記に示すのは、使用する塗料ごとの外壁塗装の一般的な費用相場です。
・アクリル塗料:1,000~1,500円/㎡
・シリコン塗料:2,500~3,500円/㎡
・フッ素塗料 :3,500~4,500円/㎡
特に単価の安い「アクリル塗料」と比較すると、フッ素塗料を使用する場合は2~3倍の費用になることを覚悟する必要があります。
フッ素塗料の価格自体も、メーカーや製品によって異なります。
下記は、代表的な塗料メーカーの主なフッ素塗料の価格目安です。
製品や価格は時期により変更されますので、あくまでも目安として参考にしてください。
ファイン4Fセラミック:3,760~5,230円/㎡
ファインフッソ:4,160円/㎡
※日本ペイントホームページより
クリーンマイルドフッソ:2,800円/㎡
スーパーセラタイトF:2,900円/㎡
※エスケー化研 設計価格表より
セラMフッソ:3,600~4,300円/㎡
アレスアクアフッソⅡ:3,000~3,800円/㎡
※関西ペイント 設計価格表より
キクスイ SPパワーフッ素:2,650~2,700円/㎡
水系ファインコートフッ素:2,600円/㎡
※菊水化学工業ホームページより
セミフロンスーパーマイルドⅡ:3,980円/㎡
セミフロンアクア:3,830円/㎡
フッ素塗料は、確かに施工1回あたりの費用相場は概して高額になると言えますが、一方で「費用対効果」という面で考えると、決して損をする結果とは言えません。
まず、ここまで書いてきたようにフッ素塗料は多機能であり、外壁をしっかりと保護してくれます。
次に、フッ素塗料は耐用年数が長く、1回施工すれば次の施工まで10年以上の間を開けることが可能です。
使用環境によっては、数年で再施工が必要になる安い塗料と比べて、フッ素塗料を使えば次の施工までの期間が3倍以上も長くなるケースも少なくありません。
期間あたりの施工回数が少ないフッ素塗料の方が、最終的には施工費用も抑えられる可能性が高いのです。
外壁塗装を依頼する業者を選ぶときに念頭に置いてほしいのは「安かろう悪かろう」ということです。
技術があっても大手のように広告できない地元密着型の中小業者もあります。
業者の中には、費用の安さで勝負して技術面では劣るようなところも多いのです。
「フッ素塗料」を用いた外壁塗装の特長、そのメリットや費用を徹底解説
フッ素塗料は一般家庭向けの使用実績こそ多くはないものの、さまざまな点でメリットがある塗料です。
施工1回あたりの費用相場は高額になりますが、費用対効果で考えれば最終的にお得だと感じられるケースが多いはずです。
ただし、外壁塗装に用いるには技術が求められる塗料でもあります。
業者を探す際には、費用面だけでなく、フッ素塗料を使用した実績が豊富な業者を選ぶことをおすすめします。
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